大国に挟まれ、戦争が終わった後のある小国の物語。
内容は複雑で理解するには時間がかかって難しいけど、この漫画を読んでいると「平和の維持がどれだけ容易ではない」と知ることができます。
私の知らない世界ではこんな風になっているんだ(´・ω`・)エッ?と未知の世界に触れるような体験でした。
その前に水木しげるの「昭和史」をたまたま読んでいたこともあって、戦後の日本やこれからのウクライナに置き換えて色々と考えさせられました。
「売国機関」はポーランドをモデルにしているのですが、戦後の日本もきっと同じように日本という国と平和のために尽力した人たちがいたかもと初めて想像できるようになりました。
そのおかげで日本って国は消えずにまだ在るのかもしれません。
戦争のない時代で生まれて、運良くも紛争地帯ではない国で暮らしているとそれはイメージし難いもので、戦争が起きていないことを本当に心から感謝しないといけないと思いました。
奥さんや娘さんの話によれば水木しげるさんは戦時中の夢をよく見て、苦しんでうなされていたそうです。戦争を経験した人はたとえ戦後になっても「売国機関」の最前線を戦い抜いた塹壕貴族たちのように「未だ戦争中」って感覚から抜け出せないほど戦争は人の心を壊すのかもしれません。
『戦争ってものは一生忘れることができないほど強烈で怖ろしいものなんだ、、、。そして戦争を知らないこと事態はとても幸せなことかもしれない』と柄にもなくつい考えてしまうほど「売国機関の登場人物」描写はリアルです。まるでその場にいるような体験を与えます。
7巻と8巻で政治や国同士の外交などの利権話も出てきて、この国はいつ爆発してもおかしくないぐらい先がわかりません。
新人軍人のモニカが胃が痛くなる場面によく描写される「うへぇ」って気持ちになります。でも同じことがどこかの国で起きているかもしれません。あるいはこれから起きることもあり得ます。
人にお勧めしづらい物語だけど、戦後生まれで戦争を知らない人にはぜひ読んで欲しい作品です。
私はこんなに面白い作品に出会えて嬉しいです(o^―^o)ニコ
最後に、私の中で印象に残って覚えておきたい言葉の一部を引用したいと思います。
ネタバレ注意
※以下、スクロールした先に漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。
気になるかたは注意してお読みください。
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オムツひとつとっても儘ならない意志と意志のぶつかり合い
理想の子育てなんてテキスト以外にはない毎日よ
だから ま 自然と悟るのよ
要は最悪を回避できればいいのだとね
引用元 売国機関 8巻 原作:カルロ・ゼン 作画:品佳直
子育てしたことがない連中に限って”理想の子育て通りにならない”ことを咎めてくるものだから困るのよ
ほんと頭でっかち連中にしてみれば最善の結果以外は失格なのかしらね
オムツを交換してから語ってほしいのだけど
引用元 売国機関 8巻 原作:カルロ・ゼン 作画:品佳直
ひとつ これは本心からの忠告
人ってね 恩に関しては他人に”やってあげた”ことは過大に評価して
”やってもらった”ことは過小評価するでしょ?
恨みは これ反転するのよ
被害者は恨み骨髄 加害者は忘却万歳 と
ええ だからこそ忠告 あの人は皆に勝ち過ぎ
引用元 売国機関 9巻 原作:カルロ・ゼン 作画:品佳直
ううん? 私たちにと言うより 皆のメンツに
70:30で勝ったとしても表向きは51:49だったと相手に思わせるのが政治のベスト
実際は50:50の取引でさえ51:49と思われた瞬間
ずーっと”譲ってやった”と根に持たれるもの
逆恨みって怖いのよ?
引用元 売国機関 9巻 原作:カルロ・ゼン 作画:品佳直
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